-その1-
2004年3月20日(祝)〜21日(日)の両日、福井県の芦原温泉「越路」にて、スタジオの総会と親睦会による懇親会が行われました。
平成15年度の活動報告と平成16年度の活動方針の発表、修了証及び認定証の授与式が例年どうり行われました。
最後は恒例のミニ・ミニ・コンサートに希望者が出演し、会員の前で演奏しました。一年間練習して来た成果を、一生懸命披露する生徒さんの姿の中に、過去の私の姿が重なって見え、毎回、毎回、私の胸に熱いものが込み上げます。
今年はスタジオ創立15周年記念リサイタルになります。リサイタルは毎年開きますが、節目の年には記念の委嘱作品を初演演奏する事にしています。
創立5周年の時は、スタジオの音楽監督奥下順造による書き下ろし作品、新邦楽(ドレミ邦楽)「静の舞」、創立10周年の時には、福井の作曲家平井英治と同じく福井の詩人有田幸代作詞による、大正琴のための、合唱付き組曲「飛翔」を発表しました。
今年は、橘曙覧(たちばなのあけみ 江戸時代に活躍した福井の歌人、米国のクリントン大統領の挨拶にその和歌が引用されたことから一躍有名になった。)の、「たのしみは」から始まり「とき」で終わる和歌(独楽吟=どくらくぎん)を題材に春夏秋冬の4章から成る、組曲「たのしみは」を発表します。
パート譜も出来上がり、3月からお稽古に入りました。
ソプラノ大正琴、アルト大正琴、テナー大正琴、ベース大正琴の11部合奏と地方(ぢかた 唄、大皷、小鼓、太鼓、笛)により構成されています。
芳村金秀
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<東京芸術大学音楽学部邦楽科卒業・長唄協会・杵栄会会員>
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梅屋 巴
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<東京芸術大学音楽学部邦学科卒業・長唄協会・女流囃子演奏会・梅屋会会員>
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望月晴美
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<東京芸術大学音楽学部邦楽科卒業・同大学院音楽研究科修了・長唄協会・女流囃子演奏会会員>
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梅屋右妃
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<東京芸術大学音楽学部邦学科卒業・長唄協会・女流囃子演奏会・梅屋会会員>
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鳳声千晴
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<東京芸術大学音楽学部邦学科卒業・長唄協会・女流囃子演奏会・鳳声流笛方>
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の5人の素晴らしい演奏家をお招きし、福井本部会員に愛知支部、滋賀支部、京都支部の会員が加わり総勢70名余りの大正琴合奏団になります。
素晴らしい演奏を確信し、今から胸の高鳴りを覚えます。福井市文化会館にて、2004年9月26日(日)、午後2時開演です。
新しい感動を私達と共に創り出しませんか!!
皆様のご来場をこころよりお待ちしております。
それでは、又、この部屋でお目にかかりましょう。
2004年3月23日 スタジオにて
-その2-
午前四時頃息苦しさのあまり目が覚めた。心臓が動悸を打ち、まるで気圧の低いところにいるような感じで、何度も何度も大きく息をすった。
…早すぎる…???。
例年リサイタルの一か月くらい前になると、曲の仕上がり具合、チケットの売れ具合、舞台の段取り、等、心配性の私は眠れなくなり、体に様々な症状が出てくる。
スタジオ創立10周年記念リサイタルで、平井英治作曲大正琴のための組曲「飛翔」(合唱付)を発表した時は、心身症と胃炎と緑内障になり、『このような大作には今後一切さわらないでおこう』と思ったくらいでしたが、演奏終了後の満場の喝采を浴びた瞬間、苦労はどこかへふっとんでしまい、又、今日を迎えてしまった。
今回は、生徒さんの演奏力も上がっているし、演奏会までまだ十分時間もあるし、それほど心配する材料は無いはずなのに、どうしたのかしら……?
暗い底なしの闇に落ちて行くような不安に襲われている。
酸素が足りなくて、荒く大きく息を吸いながら、<私のような先生がもう一人いたら、私は生徒でいたいなー…。>と叶わぬ思いに囚われている。
舞台転換が上手くいくだろうか…?、会場まで足を運んで下さったお客さまが満足されているだろうか…?、生徒さんが達成感を味わって下さっているだろうか…?、常に責任者として、これらのことで頭が一杯で、私自身の演奏は二の次三の次になる。そして毎回演奏会が近付くと胃炎になり、来年はもっと簡単な演奏会でおこうと思いながらも、現実にはどんどん新しいことに挑戦し続けている。
苦労に勝る、達成感と感動と悦びが、それまでの総てを帳消しにしてしまうからだ。
<このような大掛かりな演奏会は今回で最後にしよう。平成十七年度(2005.10.23)の国民文化祭の「室内楽の祭典・大正琴」が終わったら、のーんびりしよう、絶対にするぞー!!>
初夏のような眩しい日差しの中で洗濯物を干しながら、また懲りもせず同じことを考えている。
それでは、又、この部屋でお目にかかりましょう。
2004年4月21日
-その3-
今回の記念リサイタルの目玉の委嘱作品.奥下順造作曲、新邦楽「組曲 たのしみは」のお稽古は順調な滑り出しである。雅な情景を表現するための新しいトレモロの奏法も工夫してみた。
第三部の西沢純子のソロステージの候補曲も決まった。
「島唄」、「青いカナリア」、「北海恋歌」、そして、今話題の韓国テレビドラマ「冬のソナタ」の主題曲「最初から今まで」そして最後はリクエストの多いひばりメドレーパート4として「私は街の子〜花笠道中〜雪の丞変化〜関東春雨傘〜お前に惚れた~芸道一代〜みだれ髪〜愛燦々〜川の流れのように」を予定している。
いままでなら私の曲が決まると、体の奥の熱い血が騒ぎだすのだが、ここ数年はそれがない。それどころか得体の知れない不安と心細さに襲われる。舞台の上で自分の演奏に満足しなくなってきてしまったのだ。演奏後自分のビデオを見るのはとても辛い。
今までのリサイタルのアルバムを眺めた……。
開演を待つ会場前のお客様の長蛇の列の写真が目に入った。9月はまだ陽射しも強い。今はクーラーの効いた部屋で世界中の素晴らしい音楽を聞くことも出来る。なのにこうしていらして下さるのだ。<…私はこういう方々に支えられている。お客様は私の生き様を見にいらして下さるのだから、いまの私の精一杯をおみせすればいいのだ…>
芳名録と頂いた多くのお手紙を読んだ。
「たくさんの元気を頂きました。有り難うございます」
「私も今日から何かを見つける努力をします」というのが多い。思わず感謝の頭が下がり目頭が熱くなる。<…お礼を言わなければいけないのは私の方だ……。>
人生はドラマであり明日のことは誰にもわからない。だから今日を精一杯生きたい!与えられたチヤンスは大切にしたい!というのが私の持論ではないか!
9月26日 西沢純子大正琴スタジオ第15回創立記念リサイタルに全力を尽くします。
それでは又この部屋でお目にかかりましょう。
2004年5月10日
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